「異邦人」 アルベール=カミュ著

「では君は何の希望もなく君がまったく死んでしまったんだろうという考えをもって生きているのですか。」「ええ。」と僕は答えた。(アルベール=カミュ「異邦人」より)

「異邦人」(カミュ)

生も死も等価値。人生の一回性。どうせ死ぬのだからという諦念。ニーチェはその全現実を肯定的に引き受けて、それを積極的に受容してそこから力強く生きることを述べた。全現実を受け止め肯定的に生きるあり方をニーチェは「運命愛」と述べた。「然りと否、愛好と嫌悪、愛と憎…それ自体では、存在するすべてのものは然りと言っているのである。」(ニーチェ「権力への意志」)

ゴヤに「犬」というタイトルの絵がある。犬が頭だけを残して砂の山の中へ埋まっていく絵である。犬は、けれども、山の上のほうへ目をやって懸命にもがいてそこから這い出ようとしている。人生はやがては砂の中に埋もれてしまうことを承知して尚且つもがいて前方を向いて這い上がろうとするこの「犬」のようなものである。

「犬」(ゴヤ)ゴヤ「犬」

 

それにもかかわらずできる限りという気持ちをもって、自分を高めるために常に向上しようとする精神を忘れずに精一杯生きるべきである。

 

まず、自分自身の内なる声に耳を傾けて、その内なる声に心から正直に向き合う、人間や自分や世界を見る目がそこに存するようになる。

 

「神は死んだ」で始まるニーチェの哲学書「ツァラトゥストラはかく語りき」の中には、『「わたし」の中の「おのれ」の声に耳を傾けない者は、権威に服従することを望み、同時に、自分よりも弱い者を支配することを望むものだ。自分自身から目をそむける者は、隣人を愛し、そして、神を愛する(=神に服従する)ことに満足すると』とある。キリスト教道徳に支配されたヨーロッパ人を圧倒した名著である。

「ツァラトゥストラ」(ニーチェ)

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