「君たちはどう生きるか」 吉野源三郎著

君たちはどう生きるか吉野源三郎著(岩波書店 税込価格735円)

主人公コペル君の親友北見君は上級生と険悪な状況になっていた。コペル君はもし親友の北見君が上級生に殴られるようなことになったら、友人の浦川君と水谷君とも一緒に殴られようと指切りして約束した。そして、とうとう北見君が上級生に殴られるような状況になった。いざその場になると、浦川君と水谷君は北見君に加勢して、その3人は上級生に殴られることになった。しかし、コペル君は友人の3人が殴られているのを陰で傍観した。コペル君は約束を破った。

“・・・あれだけ固い約束をしたのを、コペル君は破ってしまったのでした。・・・なに一つ抗議せず、なに一つ助けようとしないでおめおめと見過ごしてしまったのです。しかも、水谷君や浦川君は、ちゃんと約束を守って男らしく北見君と運命を共にしたのに・・・”

“・・・それを味わうだけの、心の眼、心の耳が開けなくてはならないんだ。・・・君が何かしみじみと感じたり、心の底から思ったりしたことを、少しもごまかしてはいけない。・・・世間の眼より何よりも、君自身がまず、人間の立派さがどこにあるのか、それを本当に君の魂で知ることだ。・・・いつでも、君の胸からわき出て来るいきいきとした感情に貫かれていなくてはいけない。・・・君が人の眼にどう映るかということを一番気にするようになって、本当の自分、ありのままの自分がどんなものかということを、つい、お留守にしてしまうものだ。僕は、君にそんな人になってもらいたくないと思う。・・・”

「君たちはどう生きるか」は中学2年生の主人公コペル君とコペル君のおじさんとの文通という形式で吉野源三郎が1937年日中戦争勃発直前に著した人生読本である。全体主義的風潮の強まる戦争の暗雲漂う中、人間の勇気とは何か、社会という客体の中の主観の大切さとは何か、そして真理とは何かを説くリベラルな名著である。

著者の吉野源三郎(1899~1981)は東京帝国大学哲学科卒。戦後岩波書店取締役、明治大学教授等歴任。特に反軍国主義の立場から安保闘争に積極的参加。(書評:敬太郎)

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