「白兎で知るロシア」 小林和男著

白兎で知るロシア

先入観・偏見はその民族やその人の真実を示すものではない。しかし人は先入観や偏見で周囲の人間を見る。つまり本当の部分を見ていない。したがって現実は必ずしも真実ではない。世の中はこのような「現実」が現実として動いている。このような必ずしも真実ではない「現実」が「真実」として受け止められている。

小林和夫著「白兎で知るロシア」はまさしく日本人が通常抱くロシア人観を実はそれは必ずしも真実とは言いがたい「現実」であることを伝えてくれている。日本人はロシア人を一応に“信頼できない民族”と烙印する。戦中の日ソ中立条約や北方領土問題が背景にあるのかもしれない。小林氏はこの著の中で、“良い仕事をしている者には人格高潔、筋が通って清廉潔白な人物を期待する。それが日本の風土だろう。ロシアは懐の深い国という。

その懐には多少臭いのするお金も入っていると考えた方が良いのがロシアであり、それがこの国の力強さ、しぶとさ、そして尽きない面白さの源泉である。”と述べている。

知るということはできうる限り真実に迫ることであり、先入観や偏見を以って手っ取り早く烙印を押しある形として記憶することではなくむしろ曖昧で未決定な状態で終わったり判断中止の状態が持続するということである。それはすなわち「現実」ではなく言葉に忠実な意味で現実となる。

ゴルバチョフからプーチンにいたるソ連崩壊後のロシアの政治社会およびロシア人のあり方をジャーナリストとして長くロシアに滞在しこの激動の歴史を目の当たりに体験してきた筆者の語るロシアはまさしく現実のロシアである。

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