時を越えて

もう何年経過したのだろう。楽しい屈託のない仲間。ヴィヴィッドで心優しい教え子の女性が登山を呼びかけてくれた。かけがえのない素晴らしい思い出。今、また山に登りたい気分をかきたてる。彼女には本当に感謝である。どこかでまた会えたら「山に行こう」と今度は僕のほうから誘いたい。。。

槍ヶ岳北アルプス

槍ヶ岳(3180m 北アルプス南部 日本で5番目の高峰)、至仏山(2228m 群馬県北東部 尾瀬を含む)、尾瀬、苗場山(2145m  新潟南部・長野北東部の県境)、大雪山旭岳(2291m 北海道日高山脈)。。。そして丹沢山(1567m  神奈川県)から雲取山(2017m 東京最西端 東京・山梨・埼玉の県境 東京の最高峰)にいたるまで。。。

日本が世界に冠たる新期造山帯を実感する。起伏に富んだ地形。急峻な山々。清涼な谷川。きらきら輝く新緑の若葉。穏やかに揺れる木漏れ日。円かな時間。

偏西風と重なり合いながらも季節風が卓越する大陸東岸気候とそれがもたらす四季の変化、日本の自然は繊細で優美でかつ大胆。。。日本にいる以上登山をしなければ。。。

槍ヶ岳の頂上 

中でも能登半島一周徒歩約100kmは最高の思い出。能登半島西側の輪島から先端を越えて東側の蛸島(たこしま)までは電車が走っていない。その間約100km。山の装備をしっかり背負って真夏の炎天下を6日間歩いた。彼女が考えたルートだ。素晴らしい発想だ。夜は野宿。トイレは飲食店や公園。風呂は海水浴場のシャワー。3人で歩いた。もう真っ黒になった。

能登半島の千枚田。地理学的には等高線耕作の一種である。人口の多いインドネシアや、日本やフィリピンのような山がちの地形で行なわれるいわば“段々田んぼ”。緑色の稲が風になびく。田植え時期をとっくに過ぎた8月だから「田毎の月」は見られない。日本のふるさと風景。夏の香り。夏の風。夏の色。横浜にいてはまったく味わえない。

 有形文化財の「揚げ浜塩田」(珠洲市(すずし)) 有形文化財の「揚げ浜塩田」(珠洲市(すずし))

珠洲市(すずし)で有形文化財の「揚げ浜塩田」を見学。室町時代にさかのぼる。あらゆる仕事の中で塩田の仕事が最も重労働だったそうだ。江戸時代にもなると潮の干満を利用した入浜法が用いられるようになり重労働は軽減されたと歴史は伝える。徒歩の旅ならではの思わぬ貴重な経験。いや勉強不足だったなあの頃は。。。歴史を教える今となって初めてもっとゆっくり見学させてもらうべきだったと後悔。。。

 狼煙灯台(能登半島の先端) 蛸島駅(能登半島東岸)

能登半島の先端狼煙岬(のろしみさき)、狼煙海岸は静かな夏の海。湘南海岸のように人間はいない。白砂。水深2mくらいの遠浅。海底まで透けて見える。こんな素晴らしい砂浜と海が能登にある。

 

旅で体感する風や温度や湿度は旅そのもの。今でも写真とともに蘇る。この感触こそ生きている実感である。このような感触の実感は時間を越えて存在する。人間はやがて土に戻る生命体だからこそこの瞬間を実感していたい。。。生命を感じるのは人間が死すべき運命を背負っている逆説的な証明である。

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