♪ ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.61(ベートーヴェン 1806年)

冒頭部、この曲のリズムを刻むかのように、ティンパニーがドン・ドン・ドン・ドンと打たれる… それは、印象的で素晴らしい楽興のアイデアだ。最初に聞いたあのときの感動がよみがえる。この長大な協奏曲は、しかしその長大さを感じさせないどころか、1楽章、2楽章とそれに途切れなく続く弾むような3楽章(ロンド・アレグロ)の時がやってきてコーダに近づくと”もう終わりか・・・”と名残惜しくなる「短さ」だ。

一説には、ベートーヴェンがこの時期ヨゼフィーネ・フォン・ダイム伯爵未亡人との恋愛中であり、そのことがこのコンチェルトの明朗さの背景にあるとされている。もしそうだとすれば、この最高の名曲を享受できる我々は楽聖を魅了した伯爵未亡人に感謝すべきであろう!恋愛は作曲のエネルギーなんだ!たとえば、パガニーニの名曲として多くのCDとなって世に出ている「ギターとヴァイオリンのためのソナタ集」が穏やかな甘美さを醸し出しているのはパガニーニの恋愛エピソードに起因するそうである。たとえばレスピーギの「ローマ三部作」も恋愛事情にその作曲背景があるそうだ。。。

ベートーヴェンのこのヴァイオリンコンチェルトでは、第1楽章は高貴でのびやかかつ勇壮で雄大、第2楽章は憧憬するような穏やかさ、最終楽章は弾むように明るく力強くヴィヴィッドでアポロン的。。。このヴァイオリンコンチェルトにおける音楽的には高貴でしかも親しみやすく生き生きとしたメロディはベートーヴェンの音楽に底流している人生・生命への賛歌そのものではないかと感じる。その意味でベートーヴェンの音楽こそ芸術が人生にもたらす計り知れない役割を普遍的に発揮している。いくつもあるこのようなベートーヴェンの名曲との出会いは替えがたい人生の宝である。共鳴する生命への賛歌、それは名曲の条件の一つといえよう。そして、いっぽうで、名曲が与えてくれる生命への賛歌は逆説的な意味において短い人生の証である…だからこそ楽興の時間はやがて塵として消え失せてしまうだろう一時的な幸福な瞬間である。この名曲の第3楽章ロンド・アレグロは幸福な瞬間を奏でる。

生きとし生けるものの有する死に至る彼岸的・ディオニソス的な将来を回避して、今は此岸的・アポロン的な現実を享受する・・・ロマン=ロランの「ジャン=クリストフ」や「ベートーヴェンの生涯」にはいつも苦悩を通して歓喜へが流れている!・・・ニヒリズムの逆説的な証明である。けれどもそれは否定的な諦念ではなく、肯定的な全現実の受容が背後にある。

 

♪♪♪ ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.61 ~my collection~ ♪♪♪

ヴァイオリン奏者

*(p)(g)(fl)は各々ピアノ版・ギター版・フルート版による

       トランスクリプション

指揮者/

オーケストラ

トーマス=ツェートマイヤー

ブリュッヘン/18世紀O

モニカ=ハジェット

マッケラス/Age of Enlightenments

ギドン=クレーメル

アーノンクール/ヨーロッパch.o

*

*

フリッツ=クライスラー

バルビローリ/LCO

ティヴォー=ヴァルガ

ホーバト/ザグレブO

ブロニスラフ=フーベルマン

セル/WPO

エーリッヒ=レーン

フルトヴェングラー/BPO

ルッジェーロ=リッチ

ボールド/LCO

ベルージ/シャンテO

ヴィスロヴ/ブルガリアP.O

ヤッシャ=ハイフェッツ

トスカニーニ/NBC

ミュンシュ/ボストンS.O

ロジンスキー/NYPO

ユーディ=メニューイン

クレンペラー/Ph.O

*

*

アイザック=スターン

バレンボイム/NYPO

アルテュール=グリュミオー

ガリエラ/ACO

ウト=ウギ

サヴァリッシュ/LCO

イツァーク=パールマン

ジュリーニ/Ph.O

ナイジェル=ケネディ

テンシュテット/LSO

チョン=キョン=ファ

テンシュテット/ACO

アンネ=ゾフィー=ムター

カラヤン/BPO

ヒラリー=ハーン

ジンマン/ボルテイィモアO

ジャン=ジャック=カントロフ

マルバ/オランダCh.O

*

*

ピーター=ゼルキン(p)

小沢/ボストンS.O

山下和仁(g)

手塚/新日本フィル

ベネット(fl)

ベットフォード/イギリスCh.O

 

  ハイフェッツのヴァイオリン協奏曲集 ヤッシャ=ハイフェッツ&シャルル=ミュンシュ(指揮)ボストン響

やや速いテンポできわめて精緻でヴィヴィッドな超名演!この超演奏を聴いて、ますます、ヴァイオリン協奏曲中の最高のこの名曲が輝きだす!

  フーベルマンのベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲   ブロニスラフ・フーベルマン&ジョージ=セル(指揮)ウィーンフィル

このレコード(現在cdに移行)は1934年の録音。まさしくフーベルマンの比類なき名演!きわめて個性的でかつブリリアントな技巧!ポルタメントが重要な表現としてこの曲に生命を吹き込む。。。なんといっても絶品のカデンツァは必聴。

 

 

  ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調(スターン版) アイザック=スターン&バレンボイム(指揮)ニューヨーク・フィル

温かみのあるヒューマンなとでも言いうるスターンの音色!この演奏の第3楽章のロンド・アレグロは幸福感に満ちている。

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