♪ ロッシーニ、イタリアの「歌」とクレッシェンド

ロッシーニ(1792~1868)の音楽はクレッシェンド&アッチェランドとイタリアの「歌」に満ち溢れる。生命感あふれるクレッシェンド・アッチェランドは万人を元気づけ、ヨーロッパ地中海の青い海と青い空と乾いた空気を伴ってやってくるその「歌」は時には哀愁をも帯びた旋律美でいっぱいだ。聖歌たる「スターバト・マーテル(悲しみの聖母)」ですらそうだ。

*スターバト・マーテル(悲しみの聖母):13世紀の書かれたカトリック教会の聖歌。ヤーコポーネ=デ=トーディの詞とされる。この詩にロッシーニなど多くの作曲家が曲をつけている。

 

ハーバー

「セビリアの理髪師」「絹のはしご」「泥棒かささぎ」「アルジェのイタリア女」「イタリアのトルコ人」「セミラーミデ」「チェネレントラ」「ブルスキーノ氏」「ウィリアムテル」「ランスへの旅」「婚約手形」「幸福な錯覚」「タンクレーディ」「試金石」「オテロ」「湖上の美人」「アルミーダ」「コリントの包囲」…これらはすべてロッシーニのオペラの序曲である。無名なものまで含む33曲からなる「ロッシーニのオペラ序曲集」が1970年代フィリップスから発売され話題になったことがある。演奏はネヴィル=マリナー指揮とその手兵たるアカデミー=オブ=セント=マーチン=イン=ザ=フィールズ(Acdemy of St Martin in the Fields)である。このCDは言うまでもなく素晴らしい演奏でかつ資料的価値がある。中には歌付きの序曲もある。

 名曲「セミラーミデ」や「セビリアの理髪師」、遠くからだんだん近づいてくるロッシーニ・クレッシェンドはアッチェランドの効果も重なり、とても調子がいい~ 音楽の目的は愉悦にあるのだとロッシーニ先生の声が聞こえてくるようだ!! この大作曲家のオペラの序曲もアリアも合唱曲もいつもクレッシェンドで盛り上がって終わる。転結を知っていても、ワンパターンを知っていても、きっと誰でも「聴きたい!」気分になる!! 嫌のことも辛いことも、ロッシーニを聴くと笑顔になって、そんなことはトリビアリティなものに変じていくような気がする。

 

 ロッシーニのオペラ<LD> 

<ロッシーニのオペラ全曲LP&LD MY COLLECTION>

「セビリアの理髪師」「絹のはしご」「セミラーミデ」などロッシーニのオペラのLD。

*左列1番と上(LP)から2番目(LD)はいずれもアバド指揮ミラノスカラ座管弦楽団・合唱団。以下の動画と同一。

*右下の赤いジャケットのものはロッシーニ生誕200年記念のガラコンサート(LD)。ライモンディら出演の楽しいLD。

 

 ロッシーニの序曲集<CD>

<ロッシーニの序曲集>

*最上段左のCDボックスこそ上述マリナー指揮の序曲全集(?) スピード感のある素晴らしい演奏。資料的価値あり!

*上段左から2番目は若きムーティの超名演。歯切れ抜群の快速クレッシェンド&アッチェランド!!

 ムーティがまるでフェラーリで飛ばしているようなスポーティな演奏。

*上から2段目の左はノリントン指揮、その右隣はグッドマン指揮の序曲集、いずれも古楽器演奏。

 

ロッシーニの歌曲集&弦楽ソナタ集<CD> 

<ロッシーニの歌曲集&弦楽ソナタ全曲集>

*ジューン=アンダーソン(ソプラノ 上段中央)の”約束”(歌曲集「音楽の夜会」の第1曲)は澄んだ歌唱でこの曲にぴったり。

*中段左の黄色のジャケットは、ムーティ指揮による「スターバト=マーテル」。

*左下は「弦楽ソナタ集全曲」(アッカルドのヴァイオリン)。ただただアッカルドのヴァイオリンが美しい!!

 「歌」。甘美。旋律美。なお、弦楽ソナタはロッシーニが十代に作曲した名曲である。

 

レナータ=テバルディ(ソプラノ)による”約束”(ロッシーニの歌曲集「音楽の夜会」より)

“心変わりなど絶対しない。。。”と歌う恋の歌。いかにもロッシーニらしい旋律美に満ちた乾いた「歌」。歌曲集「音楽の夜会」の第1曲。

「音楽の夜会」の中ではもっとも知られた曲。

 

 琥珀色の声と称されるソプラノ歌手フレデリカ=フォン=シュターデ(2010年に現役引退)がシンデレラ役を演じたオペラ「チェネレントラ」はきっと非現実的な他愛もないストーリーだが、この物語をオペラ化したロッシーニの音楽には旋律美にあふれる「歌」とロッシーニクレッシェンドで満ちている。そして、この台本(リブレット)もヒューマニズムと社会的アイロニーがいっぱいだ。

 

フィナーレのアリア“私は悲しみと涙のうちに生まれ(Non più mesta)”

~超豪華キャスト~

ドン=ラミロ:フランシスコ=アライサ(テノール)

ダンディーニ:クラウディオ=デズデーリ(バス)

ドン=マニフィコ:パオロ=モンタルソロ(バリトン)

シンデレラ(アンジェリーナ):フレデリカ=フォン=シュターデ(メゾ ソプラノ)

アリドーロ:ポール=プリシュカ(バス)

ミラノスカラ座管弦楽団・合唱団 クラウディオ=アバド(指揮)

演出:ジャン=ピエール=ポネル

*私は悲しみと涙のうちに生まれ(Non più mesta)のメロディをテーマにしたピアノの演奏曲がある。

 作曲はヘンツェ。アール=ワイルド演奏の驚嘆すべきCDあり!