夢の浮島~利尻島(北緯45度10分)~

稚内港からフェリーで1時間40分~50分、距離にして53kmと案内にはある。日本最北の国立公園「利尻礼文サロベツ国立公園」に属す。肉厚な利尻昆布やウニで名高い。遠方からは利尻富士(利尻山/利尻岳  コニーデ 北峰1719m 南峰1721m 南峰は崩落が進み実際には登山できないので北峰をこの山の高さとしているようだ)がまるで海に浮かんでいるようにみえる。利尻島はその利尻富士を中心とした周囲約60kmの円形をした文字通り「夢の浮島」。リー・シリとはアイヌ語で「高い島」という意味であるそうだ。

稚内から利尻富士を望む 利尻礼文サロベツ国立公園の案内板   

「夢の浮島」はこの島にぴったりな素敵な呼称。。。フェリーに乗船した瞬間最北の日本海への旅ロマンが広がる。。。海鳥がフェリーに近づく。島の北東部に位置する鴛泊(おしどまり)港にフェリーが入港する。。。ライオンが頭を海に向けて背中をこちらに向けているようなペシ岬が大きく迫る。。。ユーモラスな形。。。

寒冷地は寒冷のため上昇気流が起きにくくその分降水に乏しい。降水に乏しいので植生も乏しい。ゆえにペシ岬には短いたけの、そう遠くから見ると苔か芝生のような短いたけの緑の植物しか生育していない。。。ますます緑の背中のライオンが浮かび上がる。。。印象的である。植生の分布に関して低緯度地域における垂直分布の上層は水平分布の高緯度地域に相当する。利尻島は中部地方の日本アルプスにおける五合目あたりに相当するのかもしれない。

地図画像

 利尻島・礼文島の地図

 

やはり日本列島は新期造山帯、この島もその証を見せている。つまり火山灰の地面。島の周囲には黒く細かい砂利のような地面が続く。そしてこの島の中央部には、というより今いる周囲は中央にそびえる利尻富士の裾野であることが自明であるかのように、コニーデの利尻富士がそびえる。オロロンラインから見とれてしまった利尻富士である。利尻島を訪れたら地理学的な関心を持ってこの火山島を満喫すべきである。

稚内から利尻島へ向かうフェリー ペシ岬

♪スキー 作詞:時雨音羽(利尻島出身 1899~1980)  作曲:平井康三郎(高知県出身 1910~2002)♪
           
*昭和17年(1942)の作品
          

山はしろがね 朝日を浴びて
滑るスキーの 風切る早さ
とぶは小雪か 舞い立つ霧か
おおゝこの身も 駆けるよ駆ける

真一文字に 身を躍らせて
さっと飛び越す 飛鳥の翼
ぐんと迫るは ふもとか谷か
おおゝ楽しや 手練の飛躍

風をつんざき 左へ右へ
飛べば踊れば 流れる斜面
空はみどりよ 大地は白よ
おおゝあの丘 われらを招く

誰でも知っている文部省唱歌「スキー」の作詞こそこの島出身の著名作詞家時雨音羽(しぐれおとわ)である。調べてみるとこのスキーという曲は昭和17年戦時中の曲であるようだ。2番の「飛鳥の翼」という歌詞は何か戦争と関係があるのだろうか?利尻島の西北部にあたる沓形岬公園に同氏作詞のヒット曲「出船の港」の詩碑がある。「どんとどんとどんと波乗り越して」という詩碑である。作曲の平井康三郎は数々の日本歌曲の名作曲家である。「ゆりかご」はよく知られている。ソプラノ歌手鮫島有美子が歌うビロードのようなルバートのかかった「ゆりかご」はこの曲の叙情性を深々と聴かせてくれる。名唱である。

 日本の歌ベスト(鮫島有美子)〰ゆりかご(所収)〰

♪ゆりかご 作詞・作曲:平井康三郎♪

ゆりかごに ゆれて しずかに ねむれ   風は そよそよと 白き腕に ふくよ
ゆりかごに ゆれて   しずかに ねむれ   風は 夢をさまし 黒き瞳に ふくよ

短い夏、多くの自然の営みが活動する。可憐で山吹色鮮やかなエゾカンゾウや淡い紫色のチシマフウロ、利尻にしか生育しないリシリアザミやリシリヒナゲシ。。。オオワシ、クマゲラやアカゲラなどきつつきの仲間、コマドリ。。。コマドリは利尻町の鳥になっているそうである。海にはゴマフアザラシやイルカ。。。

エゾカンゾウ(資料) チシマフウロ(資料)

キツネが持っている寄生虫エキノコックスが犬に感染し犬から人間に感染し、たくさんの犠牲者が出たので利尻島には犬がいないという話を以前聞いたことがある。いわゆる風土病といわれる病気が広がる要因のひとつに人が動物の領域にまでに侵入したり関わったりすることで、そもそも人間には無関係で免疫もない動物固有の病原菌を人間が「取得」したことがあげられるようである。この地上に人間は数十年間何の目的もなく滞在する。その間偶然に他の生物と並存する。人間はそのように並存しているだけという距離感をごくごく自然にありのままに受容しているべきであろう。

利尻のウニ(資料) 利尻昆布(資料) 「りしりん」(利尻島のマスコットキャラクター新聞記事)

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