小樽の文学館・博物館・温泉

   小樽築港公園からフェリー乗り場を望む

【小樽の文学】

  「冬が近くなると ぼくはそのなつかしい国のことを考えて 深い感動に捉えられている そこには運河と倉庫と税関と桟橋がある そこでは 人は重っ苦しい空の下を どれも背をまげて歩いている ぼくは何処を歩いていようが どの人をも知ってる   赤い断層を処々に見せている階段のように山にせり上がっている街を ぼくはどんなに愛しているか分からない」(1930年11月多喜二が獄中から知人に送った手紙 小樽市内旭展望台の文学碑)

小樽築港駅の多喜二の住居跡 小樽文学館入口

小林多喜二(1903~1933)は「蟹工船」「不在地主」「一九二八年三月一五日」などの作品を残した戦前のプロレタリア文学の旗手。『小林多喜二は、戦前の特別高等警察の拷問による取り調べを描いた「一九二八年三月一五日」で特高の憤激を買い、1933年東京で逮捕後わずか数時間後に壮絶な拷問を受け死去した。』と史料は語る。

小樽文学館内の多喜二の文学碑資料   

戦前・戦中にかけて、治安維持法(1925加藤高明内閣→1928田中義一内閣→1941近衛文麿内閣)のもとファシズムの台頭とともに激しさを増した全体主義の強調と強要・個人主義の封殺という歴史から学ぶことは「今は昔」ということであろうか。

戦前という時代に限ったものではなく、基本的人権を基軸とした現在の民主主義の時代においても、多様な価値観を受容し自由な精神を重んじる現在においても、相容れないものを排除する精神は間違いなく人間の心の底に存続している。主義主張やイデオロギーによるものであるばかりか、人間の思想や精神とは程遠い肌の色の違いによる人種差別や単に弱い者というだけの理由から来る「いじめ」や単に「気に入らない」という好き嫌いという感情を基準にした「差別」「偏見」…

小樽文学館内 小樽文学展示

しかし、人間の偉さは、内面に底流する差別・偏見・攻撃を理性の力でコントロールできる点だ。カントの「汝の格率に従う」精神なのかもしれない。

小樽で有名な旧日本銀行小樽支店前の道路を隔ててほぼ真向い佇む「市立小樽文学館」には、小林多喜二のほか伊藤整、石川啄木、小熊秀雄、左川ちか、大野百合子、「虹と雪のバラード」(1972年札幌冬季五輪のテーマ音楽 うた:トワ・エ・モア)の作詞者河邨(かわむら)文一郎など小樽にゆかりのある作家・文化人の資料が豊富に展示されている。

 

【小樽の歴史散策】

小樽市総合博物館運河館入口 小樽市総合博物館運河館内 復元商店街

小樽の魅力は明治・大正・昭和の建造物が保存され現役で利用されている点だ。JR小樽駅から海に向かってまっすぐ下って運河通りにたどり着くと運河通りを横断する手前に平屋建てで横長の黒灰色の大きな倉庫がある。現在は半分は小樽観光案内所兼お土産店舗の運河プラザで、半分は中庭を方形に取り囲む形からなる「小樽市総合博物館運河館」(小樽市色内) 。ちなみに「小樽市総合博物館本館」(小樽市手宮)は運河館から余市方面に向かって徒歩15分くらいのところにある。運河館には、江戸時代の北前船関連の展示、モッコと呼ばれる鰊を入れる背負子の展示、およびニシン漁で栄えた小樽の歴史、復元された商店街、忍路(おしょろ)遺跡など考古学的資料、小樽の自然のジオラマなどなど数多く感得できる。入場料大人300円。年中無休。

小樽市総合博物館運河館内 北前船模型 小樽市総合博物館運河館内 縄文土器

 

【小樽朝里川温泉】

坂の町小樽、山と坂道と運河と海。極寒の冬季は一面銀世界に一変。変化に富んだ自然、その風土が生んだ人間味あふれる文化・文学。至近距離しか見えていない日常を脱して 遠望するパースペクティブな省察に浸る。

小樽駅から車で約20分。小樽の西部山麓に細長く分布する朝里川温泉、秋深く冷涼な空気と紅葉。雪虫が飛んで約2週間後小樽には雪が舞い降りる。それは根雪になって、やがてやって来る福寿草の咲く季節を夢見る。

 小樽朝里川温泉「 湯の花」 朝里川の由来 朝里川温泉「湯の花」のタオルセット(400円)

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