道立自然公園野幌(のっぽろ)森林公園

金色のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕陽の丘に(与謝野晶子)

晩秋の黄葉(野幌自然公園)    晩秋の黄葉(野幌自然公園)

ここは、北海道札幌市厚別区と北広島市と江別市にまたがる2053ヘクタール(≒東京ドーム510個分)という広大な道立自然公園野幌森林公園。晩秋11月。公園内の森の木々は一面キサントフィルとカロチノイドに変色反応。ヒトの視覚に映える黄色や紅色は大脳で文学的に、つまり「金色のちひさき鳥のかたちして…」に変換。

北海道百年記念塔(野幌自然公園)   野幌自然公園案内図

科学とは分析と説明であるが、実際のところ日常の時空では分析や説明を超越した歴史や文学が顕在化する。現実を説明する場合しばしば「科学的には…」と科学がその道具的役割を果たすが、日常の判断は説明や科学とは無縁の感情と感覚、精神と文学によるものであるかもしれない。換言すれば、現象に底流する原因やメカニズムを詮索しないということなのかもしれない。美意識や喜怒哀楽を分析判断的にではなく綜合判断的に受容する。分析判断的でなく綜合判断的な日常的な価値観というものは人生の多くの時間の原動力となって多くの時間を経過させ、やがて人生の終焉に至る。しかし、時として、人が有限時間を悟るとき、「ヒトは土に生まれて、土に生き、土に還る」「ヒトは無機物に戻り、窒素になって空中に浮遊する」、というふうに分析判断を脳裏によぎらせる。

  北海道博物館(野幌自然公園)

こんなとき、すなわち生きとし生けるものは、やがて無機物に還元されるという科学的真実に直面するとき、ニーチェ流に言えば「トロッツデム(=それにも拘らず)」いっそう精一杯生きる精神を大切にしなければと思う。

野幌自然公園の晩秋の黄葉を、まず文学的、次に科学的に、そしてこの説明しがたい両立はいずれも真実だと受容する。

アイヌのチセ(北海道博物館) 和人とアイヌの交易(北海道博物館)

広大な公園内に、以前から有名な「北海道百年記念塔」「北海道開拓の村」に加えて2015年「北海道博物館」と「北海道立埋蔵文化財センター」が建てられた。加えられた2つの文化施設で特に北海道における地質年代から現代までを追体験することができる。北海道博物館内を誘導通路に従って歩を進めていけば、マンモスとナウマンゾウの博物学的データをはじめ江戸時代の場所請負制下における和人によるアイヌ人への支配の歴史も、文字資料のみならず再現立体展示物を通して奥深い知的好奇心世界は広がる。

 ナウマンゾウとマンモス(北海道博物館)

 

 陶磁器のコースター(北海道博物館お土産)

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