晩秋の小樽

小樽フェリー乗り場小樽運河を望む

舞い散る雪虫が北日本海沿岸に押し寄せる氷点下の厳冬の到来を告げる晩秋、小樽フェリー乗り場には一層の旅情が漂う。つるべ落としの秋の日没、冬至に向かって1日約1分日が短くなる、つまり1か月で約30分日の出日の入り時刻が変化する。

小樽運河を望む

西岸海洋性気候(cfb)領域に区分されるユーラシア大陸の西端に位置する西洋において卓越風として君臨する偏西風がユーラシア大陸を東に向かって長旅をする。偏西風はその間多くの山脈など自然の障害物にぶつかりながら東進してくるのでその勢いは次第に弱まり、ユーラシア大陸の東端に位置する日本付近に到着する頃はもはや偏西風は極東地域では卓越風の地位から降下する。温暖湿潤気候(cfa)領域に区分される日本付近では偏西風に代わって季節風(モンスーン)が卓越風となる。

小樽総合博物館展示の「北海」車両 小樽総合博物館展示の「北海」郵便車両

比熱の影響をうけながら季節によって風向きを変化させる季節風が美しい四季を創造する。うつりゆく四季の彩りは多様な動植物、多様な農作物、さらに多様な生活様式と思想を創生させる。近代日本の代表的倫理学者和辻哲郎(1889~1960)は代表的著書「風土」の中で、季節風が卓越する東アジア・東南アジアを「モンスーン型風土」に類型した。和辻によれば「モンスーン型風土」に生きる人々は、厳しさと穏やかさを繰り返す変化に富んだなかで生活するので「受容的・忍従的な性格」を有する。

パスカルの考える葦は自然のジャイギャンティックな強大さを前提とした人間の叡智の偉大さを讃えた。それはテクノロジーを過大評価し宇宙への進出をも謳歌する一部の現代人が省みるべき省察だ。死という自然に対して人は誰しも打ち勝てないからだ。歴史的な知識として天然痘・結核・ペスト・コレラ・スペイン風邪を学んできた我々が、2020年自分の問題として新型コロナウィルスの猛威にさらされた。倒産・失職・家族崩壊・自殺に対してなすすべもなく明日は我が身とおびえる日々が続く。まさしく我々は現在パスカル的謙虚さと他者への受容精神の必要さの中に在る。

旧日本郵船會社小樽支店

中世西欧で猛威を振るい西欧の人口の3分の1を死に追いやったペストは、もともと東アジアが感染源でモンゴル帝国の東西にまたがる駅伝制(ジャムチ)にも乗ってヨーロッパに拡大したと歴史は伝える。中世西欧において拡大感染したこのような悲惨な現実に対し、ヨーロッパの人びとは神の存在を疑った。神の存在やキリスト教への疑義が人間解放を主唱するルネサンスを呼んだと歴史は解する。ペストの猛威が神の存在への疑義を呼び人間解放のルネサンスを導出した。

しかしそのような学問的知識が今日の我が身の生命との格闘の時間のなかで現実味を帯びてきた。学問的知識を再度学習して、そこから想像力を導出することがが大切だ、「人工呼吸器で息をしている自分」や「失職して食料を求め都会を彷徨う自分」を。そして生命を愛おしく思い、何としても生きようとする創意工夫を考察するべきだ。

小樽駅近くの「ぱんじゅう」の店「ぱんじゅう」店内の掲示沕  小樽名物「ぱんじゅう」

晩秋、昭和の国鉄車両が展示されてる小樽総合博物館、廃線となり観光資源となった旧国鉄手宮線、小樽が誇る「旧日本郵船會社小樽支店」、紅葉の木々が北の観光地を彩る。

小樽運河竜宮橋と(株)北海製罐小樽工場 旧国鉄手宮線

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